8月31日、だいじょうぶだよ。(妊娠22週3日)

 母からメールがとどいた。母は5日前に無事退院して、ふだんの生活をとりもどしている。なにか不都合があったのかな。どんなメッセージだろう。
「元気にしてますか。あなたに送るつもりだったタオル、バスタオル、フェイスタオルを、わたし送ったかな。退院してもどってきたら、置いていたところになかったので。探してみたけれど、ないのよね。送ったのかな」
タオルは、母に置いてある場所をきいて、ちゃんともって帰っている。話したつもりだったのに。あれれ、忘れているのだろうか。
「タオルは、母さんのお見舞いの帰りに実家に寄って、もって帰ったよ。だからだいじょうぶだよ」
しばらく経って、母から返事がきた。
「ああ、よかった。箱のままもって帰ったんだ。かさばって、もちづらかったでしょう。ムリしちゃだめだよ。でも、納得、納得。安心したわ。ころばないように気をつけて。なんでもあせっては、だめだよ。動作は、ゆっくりね」
母さん、タオルをはこぶくらいなら、だいじょうぶだよ。と、書きたい気もちをがまんしながら、返信した。
「母さん、ありがとう。だいじょうぶだよ。だから、安心してね」
母からまたまた、返事がきた。
「あとで送るつもりだったのに、ごめん、ごめん。もち帰ってもかまわないけれど、大きなものは気をつけてね。ムリをしたらだめだよ」
5日前に退院したばかりの母が、娘をこんなに気づかっている、と思うと胸がくるしかった。子どもがいなくても平気だよ、と、母に話した日のことをふと思いだした。わたしが不妊治療をしているあいだも、母はけっして、がんばれ、とはいわなかった。ただ、最近どう、と子宮筋腫のことを心配していた。わたしが話すのをいつも待っていてくれた。いま母は年をとった。赤ちゃんをだっこするちからもなくなってきた、と母はいう。母さん、遅くなってほんとうにごめんね。顔を見せるだけでも安心するほど、元気な赤ちゃんを産みたいと思う。