9月1日、開けへそのごま。(妊娠22週4日)

 やっちまった。へそが、むずむずする。ちょっと、痛みもある。妊娠をしておなかがぼーんと出てきたぶん、へそが奥から押しだされて、ごまがめだつようになった。古いりんごの底みたいで、美しくない。どうにも気になる。そこで、風呂に入っているときに、へそのごまを掃除することにした。お湯でやわらかくしておいたごまを、ていねいに、ていねいに、こすりだす。しかし、なかなかとれない。だんだん、ちからを入れてこすりだす。それでも、とれない。風呂からあがって、耳かきをつかってみた。十分ではないが、きれいになった。それが半日経って見てみると、真っ赤にただれているではないか。掃除する前よりもかえって、きたなくなってしまった。へそのごまはムリヤリとってはいけない、といわれるのにとったから、ばちがあたってしまったんだろうか。

 へそのごまをとるとおなかが痛くなる、と子どものころにきいたことがあるなあ。調べてみたところ、まったくの迷信らしい。ほっとした。へそのごまというのは、垢のこと。ほうっておくと悪臭のもとになるし、わるい菌に感染する原因にもなりかねない。清潔にしておくにこしたことはない。では、どうして、へそのごまをとるとおなかが痛くなる、といわれるようになったんだろう。とるときに、わたしのようにムリにとったりすると、へその内部の皮膚を傷つけて、炎症をおこしたりする。それが、腹痛を起こしてしまうことがあるらしい。へそのごまをとったから腹痛を起こすわけではなかったのだ。

 へその部分は皮下脂肪がうすくて、ほかの部位とくらべて内臓の距離が近いので、慎重に掃除したほうがいいのは事実だ。ベビーオイルやオリーブオイルをつけて、やわらかくしておいて、綿棒などをつかってとるといいらしい。病院でも開腹手術の前などに、医療用のオリーブオイルをへそにたらして、しばらく横になってからふやけたころに綿棒でごまをとるそうだ。アメリカの研究者の発表によると、人間のへそには、なんと約1400種類もの細菌がひそんでいるという。このうちの662種類は、まったくの新種らしい。ちょっぴりこわい気がする。たかが、へそのごま。されど、へそのごま。あなどってはならない。