9月15日、水族館デート。(妊娠24週4日)

 きょうは祝日、だんなもお休みだ。なにしようかな。と、提案があった。
「水族館に行こう」
「水族館?」
「ずーっと、海に行ってないもんねえ」
「海か。ごぶさたしてるねえ」
そうだ。6月に妊娠がわかってからダイビングをお休みしている。それからというもの、ダイビング仲間がSNSにアップしている写真を見ながら、行ったつもりのシミュレーションをたのしんでいる。いまではもう、写真を見ているだけで、海の音も潮のにおいも水圧や水温の変化も、体感できるほどになってきた。水族館なら、かいだりさわったり、もっとリアルに体験できるにちがいない。いま行くしかないでしょう、これは。さっそく出かけよう。

 池袋の水族館を検索したところ、入場20分待ち、と出ていた。だんながまたまた提案をする。腹ごしらえをしてから、ゆっくり出かけよう。
「駅前に、おいしいうどん屋さんがあったでしょ」
「五反田駅の」
「そうそう、行きたかったとこ」
前から行きたかった店だ。きょうも店の前に何人かならんでいる。が、長く待たなくても、だいじょうぶそうだ。店頭の券売機で食券を購入して、ならんで待った。だんなは、肉うどん。わたしは、とり天ちくわ天ぶっかけ。
「つぎ、2名入れますよ」
店に入るやいなや、うどんが出てきた。3秒だ。この早さも、人気のひみつだろうなあ。ふぅ、だしがうまい。が、立食でしみじみ味わっていられる雰囲気ではない。まわりのスピードにつられるようにしながら、あっという間にたいらげてしまった。また来よう。おなかをなでながら、あわてて店を出た。

 水族館に着くと、子どもに混じって歩いてまわった。子どもたちといっしょにいちばん前を陣どって、アシカパフォーマンスを観賞した。ダイバーのおねえさんがやってくる水中パフォーマンスも、ブースのいちばん前にならんで見た。まわりの子どもたちの歓声に刺激をうけたのか、そうすけもぐるんぐるんと動いているのを感じる。いっしょにたのしんでいるのかな。いっしょうけんめいに魚の動きを追いかけている男の子の様子を、だんながじっと見つめている。いつの日か3人で水族館に来るだろう。そのときにもきっと、おなじように見ているんだろうな。わたしもきっと、おなじように笑っているんだろうな。