9月30日、人間ドック。(妊娠26週5日)

 朝8時すぎの虎ノ門駅は、人がまばらで気もちいい。きょうは人間ドックをうけるため、いつもよりも1時間ほど早めに家を出た。このくらいの時間帯なら朝のラッシュと無縁ですむ。早朝出勤してみようかなあ。人間ドックは妊娠しているからうけなくてもいいだろう、と思っていたのだが、妊娠しているからこそうけたほうがいい、と会社の人事にいわれてうけることにした。妊娠検診ではわからない、からだの不調がわかるという。たしかにそうだ。しかし、このタイミングでわかったとしてもどう対処できるんだろう。なにか重大な欠陥が見つかったらどうしたらいいのか。ああだこうだいいながらも、これはうけるべきだとわたしも思う。満45歳で、会社がまるごと全額負担してくれるのもありがたいではないか。X線検査やCT検査、MRIを除くすべての検査をうけた。

 結果は4週間後に郵送されます、とのこと。血液検査だけは、1時間ほど待てば医師から結果の一部をきくことができるらしい。話をきいておくにこしたことはない。待っているあいだ、かるく食事をした。パンとサラダとミネストローネのセット。のみものは、ホットミルク。栄養バランスのとれたヘルシーなメニューだ。いつもこういう食事だったら体重もセーブできそうだなあ。1時間ほど休んでから診療所にもどった。先生と面談だ。どんな結果が出ただろう。

 いままでは血液検査で指摘されたことがなかったが、今回はちがった。まずは総蛋白とアルブミンの数値が低いとのこと。原因としては、栄養不良が考えられるそうだ。栄養不良ですか。そうすけにちゃんと栄養がとどいていなかったらどうしよう、と気になる。さらに、コレステロールと中性脂肪の数値が高い。栄養が足りないのにコレステロール値が高いとは、これいかに。先生に原因と対策をきいてみると、食事と生活習慣ですねと断言された。だいすきなパンケーキはこれから封印だ。乳製品もとりすぎるのはよくないらしい。からだにいいと思って積極的にとっていたのだが。と、ここまで話したところで先生がじっとわたしを見た。もっといいにくい、すごいことがあったのだろうか。
「神戸さん、妊娠されているんですね」
「はい、7か月です」
「妊婦の方へのアドバイスはできません、すみません。産婦人科で検査をしていただけますか」
「えっ」
「妊娠すると血液検査の基準値が、かわるもので」
「えっ、はい、わかりました。産婦人科できいてみます」
先生は、呼吸器科が専門なので、と話してくれた。面談が終わると、日赤医療センターの産科へ予約を入れることにした。この際だから、運動の許可ももらえるならもらっちゃおう。すぐに電話がつながった。しかも、あしたの午後に予約を入れられますよとのこと。こんなにスムーズに入れられるとは。