Diary

にんしん日記

44歳で妊娠、45歳で出産した神戸 海知代の妊娠・出産・子育てせきらら体験記。
妊娠を知った2014年6月6日からまる1年、1日も休まずつづった記録です。

11月10日、産後クラスその2。(妊娠32週4日)

 産後クラス後半のグループワークでは、母乳育児について話しあった。母乳育児のいいところ、わるいところ、家族にできること、をグループで話しあったあと、助産師さんがホワイトボードに書きだしてまとめていく。おっぱいについてこんなにみっちり考えたのは、生まれてはじめてのことだろう。

【母乳育児のいいところ】
・スキンシップがとれる。
・栄養がしっかりとれて、免疫もつけられる。
・お母さんの体重がもどりやすい。
・赤ちゃんの消化が早い。
・ほしいときに、すぐあげられる。
・荷物がすくないので、おでかけしやすい。
・コスト0円。お金がかからない。
・災害時にもあげられる。
・がんのリスクを減らす。
・骨粗しょう症を予防できる。
実際に、3.11のときにも、助産師さんが被災地に行って、お母さんたちのおっぱいをケアしてちゃんと出るようにお手つだいをしていたそうだ。

【母乳育児のわるいところ】
・授乳が頻回で、お母さんの負担が大きい。
・他の人に、お願いできない。
・外出時、出先での授乳場所探しがたいへん。
・出ないと、母児にストレスがたまる。
・お母さんのたべものが制限されがち。
・乳首が痛くなる。
・赤ちゃんが夜型でしんどい。
母乳が出ない人は全体の約1%だけといわれている。ということは、わたしもおそらく出るにちがいない。ケアをおこたらないように気をつけよう。

【母乳育児で家族ができること】
・栄養いっぱいの料理で応援する。
・お母さんのイライラをやさしくうけとめる。
・授乳スペースを探しておく。
・家事を手つだう。
・搾乳したおっぱいをかわりにあげる。
・おむつ交換などでサポートする。
・マッサージで応援する。
このあと、おむつ交換の実習がある。だんなが、はりきっている。参加をしたご主人さんもみんな、やる気まんまんだ。こうやってモチベーションをあげるんだな。よく考えられたプログラムだなあ、このマタニティクラス。

 おむつ交換はまず、だんなとわたしから。先輩ママAさんも、小児科勤務のプレママさんもそのご主人さんも、すでに体験しているからだ。実物大の人形を相手におそるおそる、おむつをあてる。日赤医療センターでは、2年前から布おむつではなく紙おむつを推奨している。立体ギャザーを立てて、フリルを外側に出しておく。たったそれだけをするのに、いちいちびくびくしてしまう。ウエストまわりにゆるみはないかな。指1本入るくらいがいい。指1本入ったー、とよろこびながら、これが人形でよかった、と安心する。まだまだ未熟者だ。

11月9日、産後クラスその1。(妊娠32週3日)

 日赤医療センターの、産後クラスに参加した。妊娠30週以降の妊婦さんとパートナーを対象にしている。どの参加者もおなかがめだってきていた。出産をより身近に感じる。M夫妻もやってきた。元気そうだ。あれ、おととい会った先輩ママさんのAさんがいない。どうしたのかな。ホワイトボードにきょうのスケジュールが書かれている。オリエンテーションのあと、産後の母体や生活の変化について先輩ママさんの体験談をきく。赤ちゃんのゲストをまねいて、助産師さんから赤ちゃんの出産後についてのお話をきく。DVDによる産科病棟の紹介、休憩をはさんで、母乳育児についてのグループワーク、おむつ交換の育児体験、そして院内見学。きょうも盛りだくさんだ。たっぷりたのしもう。と、Aさんが急いでやってきた。おなじテーブルにすわった。よかった、よかった。

 おなじテーブルになったのは、先輩ママAさんと、30代半ばくらいの初産のご夫婦だった。なんと奥さんは小児科、だんなさんは感染症科のプロフェッショナルで、知識も専門的だ。なんとすばらしい偶然。グループワークでいろいろ教えてもらおう。でも、ふたりがいうには、どれだけ現場にいても出産体験ははじめてなのでわからないことばかりなんだそうだ。やっぱり、経験にまさるものはないんだなあ。先輩ママAさんとさっそく盛りあがっている。

 ママと赤ちゃんのゲストが、講義室にやってきた。赤ちゃんは、ふたり。ひとりは、きょう1時34分に生まれたばかりの男の子。2900グラムくらいだったという。もうひとりは、11月5日生まれの女の子。からだの大きさは男の子とおなじくらい。肌の色がちがう。男の子はまだ、肌の色が赤っぽいけれど、女の子は数日が経って黄色くなってきている。生まれて7日後くらいに向けて黄だんが出てきて、それから、白くもどっていく。それにしても、小さい。小さいなあ、赤ちゃんって。さわるのがこわいくらいだ。こんな小さい赤ちゃんでも、おなかのなかにいるんだと思うと、こんどは大きく感じる。ふしぎなことだ。どんなふうに過ごしていたんだろう。ぼんやり考えていたら、女の子を産んだママさんがあらわれた。さっそくみんなで、ママさんの話をきく。

 ママさんは、予定日よりも5日早くきざしがあったそうだ。陣痛よりも先に破水した。移動中の車のなかでどんどんあふれてきて、これはまちがいない、と感じたという。9時に入院して、陣痛がきたのは22時、赤ちゃんが生まれたのは翌日16時。陣痛から18時間。たいへんだったろうなあ。だんなさんとお母さんに立ち会ってもらってよかった、と感謝している。産むときに、だんなさんが呼吸にあわせてマッサージしてくれたそうだ。最初はなれなくて、へたくそー、とケンカしそうになったりもしていたけれど、助産師さんに教わってどんどんうまくなったんだとか。お母さんは精神的な支えになってくれた。わたしもできたんだからできる、できる、といわれて、心づよくなれたという。生まれたときの気もちはうまくいいあらわせないくらい、しあわせ。生まれるまでは、出産ってなんなんだろうと混とんとしていたのが、なにもかもよかった、の気もちにかわったという。なにもかもよかった、を感じてみたい。みんなうっとりしている。

 産後2日め、3日めくらいから胸が張る。ママさんは、産後2日めから胸が張ってのんでもらわないと痛いほどだったそうだ。赤ちゃんは、1日め、2日めからいきなり、おっぱいをすごくほしがる。これは、おなかがすいている、というよりも、吸うことで安心したい、という生理的欲求からくるそうだ。この日を境にして、ママさんは1~2時間に1回くらいの頻度でおっぱいをあげるようになる。授乳回数の目安は1日に14回。ハードな作業だ。でも、なによりも大切だ。このあとのグループワークで、それを学んでいく。おっぱいについてみんなで話すなんて、いままでなかったなあ。つづきは、あした。

11月8日、マタニティヨガ皆伝。(妊娠32週2日)

 きょう、マタニティヨガのさいごのポーズを教わった。マタニティヨガをはじめてからはじめの1か月は、お休みすることをおぼえた。1か月をすぎると新しいポーズを習って、1日にひとつずつふやしていく。きょうが、さいごの1日だ。これで、マタニティヨガに必要なすべてのポーズを身につけたことになる。よかった、よかった。と、すかさずインストラクターさんがひと言。
「がんばりすぎないようにね」
「はーい、気をつけます」
気合いが入ってしまったのを見すかされている。リラックス、リラックス。妊娠する前からヨガをつづけていたので、わたしにとってはヨガをしているときのほうが自然体でいられる。なるべくおとなしく静かにしていたほうがいいという考え方もあるが、そのときどきのコンディションにあわせてからだに向きあっていきたい、と考えている。背中の痛みもおさえられるので、いまのわたしにはちょうどいいようだ。このまま臨月までのりきっていきたいものだ。

 あらためて、妊娠中のヨガの効果を調べてみた。どんないいコトがあるんだろう。意識しながらやってみると、さらに効果が期待できちゃったりして。
【妊娠中のヨガの効果】
・不安やストレスをとりのぞき、快適な眠りへ導く
・毒素を追いだし、消化をたすける
・血圧と血糖値をととのえ、妊娠中の高血圧や糖尿病のリスクを防ぐ
・ホルモンや情緒を安定、感情のゆれ、つわり、吐き気を軽減
・血行をよくして、水分のうっ滞、浮腫をおさえる
・出産に必要な筋肉と関節のつよさ、柔軟性の向上と耐久力をつける
・妊娠中によくみられる腰痛を緩和する
・高血圧などによる、赤ちゃんの成長を遅らせるリスクを軽減
うわ、いいコトずくめだな。これらを信じてつづけてみよう。好循環がキープできるかも。もともと低血圧でも妊娠高血圧症候群は急にやってくる、ときいている。いま32週。これからの数週間も、どうか元気にすごせますように。

11月7日、運命ですね。(妊娠32週1日)

 午後、仕事場を出て日赤医療センターへ。妊娠検診だ。きのうで9か月をむかえている。そうすけは、きょうもよく動いている。元気にすごしているのがわかると、やっぱりうれしい。婦人科で書いてもらった紹介状と健康保険証、診療予約カード、妊婦健康診査受診票、母子健康手帳を受付に提出する。紹介状以外はいままでの婦人科とおなじだ。血圧と体重を測り、検尿をとって、ロビーでよばれるのを待つ。待っているあいだにメールで仕事のやりとりをする。ノートパソコンはロビーでつかってもかまわないとのこと。これならどれだけ待たされても平気だ。と、そばでわたしに話しかける女性の声がきこえてきた。

「こんにちは、こんにちは」
なんと、出産クラスでごいっしょした若い経産婦の先輩ママさんだった。
「あらあ、うれしい」
「こんなタイミングにお会いできるなんて」
「運命ですね」
「運命ですよ」
ちょうど彼女も妊娠検診にきていたという。12時にきて、いま検診を終えたところなんだそうだ。もう16時をすぎている。4時間コースだ。やっぱり待たされるんだなあ。わたしも18時までに出られたらラッキーにちがいない。
「9日の産後クラス、いっしょにうけませんか」
「えっ、9日に予約したんですね」
「いま見たら、まだ空きがありましたよ」
「えっ、入れるんだ」
9日はいちど予約を入れたが、撮影の立会いと重なっていたのでキャンセルしていた。が、なんと、ちょうどいま、天気がわるいのでリスケジュールすると連絡がきたところだった。こんなコトってあるんだなあ。これはご縁かも。
「あのとき参加していた、関西弁のMご夫婦にも会えますよ」
「行く、行く」
「よかったー。じゃあ、予約をしたら連絡くださいね」
連絡先を交換すると、先輩ママは帰っていった。これから4歳になる娘さんを保育園に迎えにいくそうだ。毎日いそがしいという。でも、たのしそう。

 検診も、いまのところ心配なさそうだ。経腹エコー検査をしたあとに、先生から、はい、とっても標準です、といわれてほっとした。ふつうといわれてよろこぶなんて、ふしぎだなあ。体重1568グラム。もっともっと大きくなあれ。思うぞんぶん、わたしのおなかライフをたのしんでほしいと思う。

11月6日、元気な子ランチ。(妊娠32週0日)

 会社で所属しているチームのみんなと、ランチへ。チームリーダーが、肉のおいしい店を予約してくれた。題して、元気な子ランチだ。自分ではなかなか行く機会がなかった高級店。うれしいなあ。そうすけ、きみのおかげだよ。ありがとう。きみのぶんまでしっかりお肉をたべるからね。チームのみんなも、よろこんでいる。店に入ると個室へ案内された。昼から個室で、テンションがあがる。まずは、ジンジャーエールとノンアルコールビールでカンパイ。

 ランチをたべている7人のうちの5人には、すでに子どもがいる。そうすけには先輩がいっぱいだ。もうひとりの後輩とわたしは、来年親になる予定だ。話題は自然と出産や子育てのことになる。立会い出産にのぞんだけれど出番がなかったパパの想いやホンネをきくことができた。みんな、いろいろ悩んでいた。
「そばにいるのに、なんにもできなかったよ」
「けっきょく、おれがそこにいなくても子どもは生まれるんだなあって」
「男って無力なんだよね」
えっ、そこまでネガティブになるの。
「はげますつもりで手を握ろうとしたら、いやがられた」
「ジャマっていわれたよ」
してほしいことはきちんと伝えたほうがよさそうだ。こころしておこう。
「退院してからママがたいへんそうだったんで、せめて料理だけでもつくろうと思って。ネットで調べてパスタをつくったの」
おいしいパスタをたべてもらおう、とネットで調べたのがけなげだなあ。
「時間もきっかり計って、ばっちりアルデンテに仕あげたのに。赤ちゃんにおっぱいをあげていて、よんでもこないんだよ。ぼくのアルデンテ、どうしてくれるの。どうでもいいのね、って。かなしかったよ」
そういうこともあるよなあ。奥さん、すごくよろこんでいたと思うけど。
「リビングで小学校の宿題をしてる息子の背中を見ていると、タイムマシーンにのった気分になるんだよね。あぁ、むかしのぼくがいるって」
いいなあ。相似形のふたりを後ろから見まもりたい、と、つくづく思う。

11月5日、しゃっくりと胎動。(妊娠31週6日)

 原稿を書きながら、そうすけのしゃっくりを感じている。なかなか、とまらない。ひくっ、ひくっ、と一定のリズムで動きつづけている。わたしは、この感覚がニガテだ。おなかのなかでひとつずつゆっくりプチプチをつぶしているようなカンジ、とでもいうのだろうか。下半身がくすぐったくて、むずむずしてくるのだ。自分でとめられたらいいんだけど、そうすけのしゃっくりだからどうしようもない。しゃっくりは横隔膜のけいれん、といわれているが、これが起こるのは一人前に横隔膜が機能している順調な成長の証拠だ。なぜ胎児がしゃっくりをするのかは、まだ解明されていない。赤ちゃんによって個人差があって、妊娠中にまったく胎児のしゃっくりを感じなかった、というママもいれば、しょっちゅう感じた、というママもいる。おなかのなかでしゃっくりをよくしている赤ちゃんは、生まれてきてからもしゃっくりが多いらしい。そうなってくると、そうすけの生まれたあとは、しゃっくりマシンだ。たいへんだ。

 胎動もよりつよく、はっきりしてくる。8か月後半になると、そうすけがどんな向きでいるか、とか、どっちに足を出しているのか、とかがはっきりわかるようになってくる。気もちよくすごしていると、うれしいなあ。このころ羊水の量はピークを迎えて、これ以上はふえなくなるので、これからおなかのなかはすこしずつきゅうくつになっていくんだそうだ。そうすけは自分なりに居心地のいい体勢を見つけるだろう。どんなポーズがすきなのか知りたいものだ。あらあら、またしゃっくりをはじめている。いつも、いつも、いそがしそうだ。

 家庭用の超音波ドップラーも、胎動がはげしくなってからはつかうことがすくなくなった。以前は、ほぼ毎日お世話になっていたんだけど。いまでは胎動がないときだけ、チェックするためにとりだしてつかっている。いまいちばん夢中になっているのは、キックゲーム。いままで反応があいまいだったのが、しっかり伝わるようになってきた。ぽん、と、おなかをたたいたら、ぽん、と、たたきかえしてくる。うれしくて、なんども、なんども、たしかめている。だんなもいっしょに3人であそぶことも多い。そうすけ、なかなかの足さばきだ。

11月4日、そうすけウイルス。(妊娠31週5日)

 さっきからフォトスタジオからもらったデータを、なんども、なんども、見なおしている。きのうは、たのしかった。女性ばかりのスタジオだったので、自由にのびのびと撮影できたのもよかった。だんなも満足している。そうすけが生まれたらまた行こうね、と話している。たくさん撮ってもらった写真のなかの1枚を選んで、木製のパネルに加工してもらえる。どの1枚にしようかな。データをじっくり見くらべながら、だんなといっしょにおなかをさわってそうすけをたしかめている写真に決めた。このときほんとうに、そうすけが動いていたのでびっくりしていた。だんなの、はっとした瞬間の表情がおもしろい。

 マタニティフォトを撮りに行くまでは、こういう写真っていつだれが見るだろう?と思っていたけれど。いま、なんど見ても足りないほど気に入っている。木製パネルは寝室にかざって、毎日見えるところに置こう。ほかの写真も、DVDに閉じこめておくのはもったいない。フォトブックに加工するのもいいな。どの写真を本にのせようかな。また、はじめの1枚から見なおしはじめる。さっきからおなじことをなんどもやっている。なのに、あきない。あきないどころかどんどん気もちが高まっていく。そうすけウイルスにかかってしまった。と、だんなが仕事から帰ってきた。ビールをのみながらさっそく写真に見入っている。

 そうすけウイルスにかかってしまった人が、もうひとりいる。わたしの母だ。メールがくるたびに、マタニティ用品の専門店に行ってきたのがわかる。わたしよりもひんぱんにかよっているようだ。いまも、こんなメールがきた。
「きょうも、かわりはないですか。ベッドガードはありますか。ベッドの木枠から赤ちゃんをまもるため、あたまのまわりに置いておくものだけど、これもあったほうがいいよね。ちょっとお店に行って見てきます。ベビーバスはもうたのんであるから、だいじょうぶ。だけど、それにつかうポンプがなかったよね。こっちもたしかめてきます。それではいまからお店にいってきます」
ベッドガードのことまで考えていなかった。母の動きの早さには、すでについていけなくなっている。この夏には入院していた母がこんなにアクティブになれたのも、そうすけウイルスのしわざにちがいない。おそるべしパワーだ。

11月3日、マタニティヌード。(妊娠31週4日)

 11時、表参道の美容室でヘアメイクをしてもらう。このあと、13時からマタニティフォトを撮る。ふっふっふ。すっかり、うかれぽんちな45歳だ。うかれぽんちでいいのだ。うかれぽんちウェルカムなのだ。たのしめるだけ、とことんたのしんじゃおう。髪をまいて、ふわっとゆるっとフェミニンに。メイクはみずみずしく光を放つような肌に。この年ごろになると、透明感がいのちなのだ。念入りにベースメイクしてもらった。これで無敵のママ、できあがり。

 ヘアメイクが終わって時計を見ると、まだ12時すぎだった。思ったよりも時間がある。13時まで表参道をぶらぶらしてもいいが、せっかくていねいに手入れしてもらった肌をなるべく外気にさらしたくはない。早めにスタジオへ行って、待つことにしよう。スタジオに電話をしたら、いますぐうかがってもだいじょうぶとのこと。ランチはがまんして、ヨーグルトドリンクをのみながらスタジオへ向かった。これで白い歯もキープできる。念には念を入れて慎重に。ビルの前でスタッフのおねえさんが待っていてくれた。わあっと気分が高まる。ロビーで撮影を待っているあいだ、たくさんの撮影サンプルを見せてもらった。どんなふうに撮ってもらいたいのか、イメージをふくらませる。ヌード、セミヌードに、ワンピース。チューブトップにロングスカートのシンプルな組みあわせもステキだなあ。きょうの撮影のために、ヨガウェアも持参した。2~3回は衣装チェンジできるそうだ。たくさんの写真をながめているうちに、ある衝動がわたしを支配していった。脱ぐ、か。脱ごう。ありのままを撮っておこう。だんなに話すと、二つ返事でオーケーがきた。人生初ヌードにチャレンジしてみるのだ。

 約50分の撮影のなかで、チューブトップにロングスカート、ベール1枚だけでおおうセミヌード、ヌード、あまった時間でヨガウェアをきてヨガのポーズにもトライした。だんなも、撮影監督になるわ、プロデューサーになるわ、モデルになるわ。ハイテンションがとまらない。ふたりが被写体になると、おなかのなかのそうすけもムクムク動きはじめた。そうすけくーん、とスタッフのおねえさんも声をかける。マタニティまつりだ。わっしょい、わっしょい。

11月2日、まだある可能性。(妊娠31週3日)

 13時から、人材育成プログラムへ。きょうは、半日かけてみっちりと自分の可能性をあらわにしていく。いよいよ、ほんとうの個性を見つめなおすチャンスがやってきた。どんな発見ができるだろう。参加者のだれもが期待をして参加しているようだ。連休のどまんなかにもかかわらず欠席者がたったの2名しかいなかったことも、それを証明している。こんな機会でもなければ、いまさら自分と向きあうなんてしないだろう。ちょうど産休に入ったタイミングなのもいい。

 まずは、幼少期から社会人になるまでの人生天気図をつくる。自分がすきだったこと、夢中になったこと、を時系列に書きだしていく。人生の転機にはどんな体験をしていただろう。パートナーに客観的なコメントをもらって見なおしながら、ひとつひとつ振りかえる。そうすることで、自分の原点にあるものをていねいに抽出していく。つぎは、人生天気図の社会人篇だ。学生篇とおなじように社会人になってからいままでの出来事を書きだす。そのなかで、自分が達成感を感じたこと、成長を感じたこと、を整理していく。ここでもパートナーの客観的な視点が欠かせない。さらに、これらすべての経験から抽出できる卓越した個性とはなにかを書きだしていく。パートナーと相談しながら書きだしていく。いよいよ大事なところだ。自分の原点と卓越した個性を組みあわせることで、どんな可能性が見いだせるか。こんどはチームワークで、自分以外のメンバーが書きだしていく。この作業がおもしろい。思いもよらなかった自分に出会える、またとないチャンスだ。どんな可能性が見つかるだろう。

 たとえばわたしには、こういった側面があるらしい。美術などの評論家やライター、モデレーターやファシリテーター、文化的MC、文化人サロンの経営者にオーセンティックバーの経営者、PR会社のプランナーや経営者、人材派遣会社の経営者、政治家の秘書。経営者が多いのは、年齢によるところが大きいのだろう。いままでに意識したことがなかった職業ばかり。おもしろい。こんなふうに客観的な視点をとおして自分らしさを考えたことは、たしかになかったなあ。なのにリアルにイメージできる。ついつい、その気になってしまいそうだ。

11月1日、そうすけのベッド。(妊娠31週2日)

 きょうは、そうすけのベビーベッドがとどく日だ。朝、いつもより早起きをして到着にそなえる。ワクワクするなあ。先にふとんがとどいた。ベッドも午前中にとどく予定になっている。が、12時をすぎても音沙汰がない。店に状況をきいてみると、すぐ調べます、と、あわてている。しばらくして返事がきた。いまトラックが品川からむかっているので5分以内には着きます、とのことだった。いよいよ、わが家にそうすけのベビーベッドがやってくる。

 チャイムが鳴り、だんなが玄関にむかった。大きなダンボール箱がはこびこまれた。胸のあたりまで高さがある。思ったよりも大きい箱だなあ。迫りくるそうすけの存在感を感じる。だんなはさっそく箱を開けて、ベッドを組みたてはじめた。ぜんぶのパーツを箱から取りだして、包みを開けて、ならべるだけでも時間がかかる。黙々と作業しているだんなの背中がたのもしい。さっそくわたしも手つだうことにした。パーツをねじでとめるのは、だんなの作業。それを両手でささえるのは、わたしの作業。ケーキ入刀以来の共同作業かも。1時間ほどかけてベビーベッドが完成。あらためて見ても大きいベッドだなあ。
「ねじ、ちゃんと、とめたよね」
「だいじょうぶに決まっているでしょ」
だんなが、おこっている。ごめん、ごめん。立派なベッドだ。キッチンからも寝室からも見える、リビングのまんなかに置いてみた。これなら、どこにいても安心できる。ふとんも敷いてみたくなるけれど、がまん、がまん。つかうのは2か月先だもんね。ホコリをかぶらないように、パッケージにしまっておこう。だんながほれぼれとした目でベッドを見つめている。と思っていたら、もう家具のレイアウトをこまめにチェックしている。すごくうれしそうだ。

 夕方、鍼灸マッサージ治療院に行った。やっぱり、背中の痛みはこの時期によくおこるらしい。痛みとじょうずにつきあうことが大切だ。家でもできる対策としては、あたためるのが効果的。肌に直接貼って蒸気の温熱であたためるシートをすすめられた。まずはつかって、たしかめてみよう。